日本での不動産所有における法的枠組みと税金の影響を理解することは、国内外の購入者にとって非常に重要です。日本の不動産法は所有者に強力な保護を提供する一方で、特定のコンプライアンス要件を課しています。
ARK合同会社は経験豊富な法律・税務の専門家と提携し、不動産取引と所有期間を通じて、専門的なバイリンガルサポートを提供いたします。
不動産所有形態
個人所有
住宅用不動産で最も一般的な所有形態です。所有権、使用権、処分権のすべてを持ち、個人名義で登記されます。
- 最もシンプルな形態で、管理負担が最小限
- 不動産に関する決定権を完全に保有
- 所得は累進課税の個人税率で課税
- 死亡時に相続人に相続税が適用
- 自宅や小規模投資物件に適している
共有
複数の個人が不動産の持分を登記して所有します。夫婦や家族で共同購入する場合に一般的です。
- 所有割合が登記簿に記載される
- 重要な決定には全所有者の同意が必要
- 各所有者は自分の持分を個別に抵当設定・売却可能(制限あり)
- 税制優遇は所有割合に応じて配分
- 住宅ローンのLTV要件を分割するのに有効
法人所有
日本法人(株式会社または合同会社)が不動産を所有します。投資物件や複数物件の保有によく利用されます。
- 個人と事業の責任を分離できる
- 法人税率が有利な場合がある(15〜23.2%)
- 経費控除の機会が多い
- 年次会計・報告義務がある
- 設立・維持がより複雑
信託所有
受益者のために信託で不動産を保有します。あまり一般的ではありませんが、相続対策や資産保護に有効です。
- 受託者が受益者に代わって不動産を管理
- 死後も家族への資産承継が可能
- 相続税負担を軽減できる可能性がある
- 信託登記と継続的な管理が必要
- 専門的な法的アドバイスが不可欠
外国人の不動産所有規制
日本は多くの国と比較して、外国人の不動産所有に関して比較的自由な規制となっています。
外国人購入者向け重要事項
- 制限なし:外国籍の個人・法人は日本で自由に不動産を購入・所有できます
- 特別許可不要:他国と異なり、外国人所有に政府の承認は不要です
- 平等な権利:外国人所有者は日本国民と同等の法的権利を有します
- 居住要件なし:日本に住んでいなくても、ビザがなくても不動産を所有できます
- 海外送金可能:賃料収入や売却代金は海外送金可能です(源泉徴収あり)
外国人購入者の必要書類
- 住所証明:非居住者は本国の公証済み住所証明書が必要です
- 印鑑登録:日本で登録した印鑑、または公証済みサイン証明書
- 納税者番号:居住者はマイナンバー、非居住者は外国の納税者番号
- 資金証明:大口取引の場合、正当な資金源の証明
- 翻訳:外国語の書類は公式な日本語翻訳が必要
不動産に関する税金の概要
日本の不動産所有者には、継続的な税金と取引時の税金がいくつか課されます。
| 税金の種類 | 税率・金額 | 納付時期 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 評価額の1.4% | 毎年(年4回分納) |
| 都市計画税 | 評価額の最大0.3% | 毎年(固定資産税と同時) |
| 不動産取得税 | 評価額の3〜4% | 購入時一回のみ |
| 登録免許税 | 所有権2%、抵当権0.4% | 登記時一回のみ |
| 消費税 | 10%(建物のみ、土地は非課税) | 購入時(該当する場合) |
評価額に関する重要事項
不動産税は政府評価額(公示価格)に基づいて計算されます。これは通常、市場価格の60〜70%程度です。つまり、実効税率は表示されている税率より低くなります。
賃貸物件の所得税
不動産を賃貸に出す場合、賃料収入には日本の所得税が課されます。
日本居住者の場合
賃料収入は「不動産所得」として累進課税の所得税率が適用されます。
- 195万円まで:5%
- 195万円超〜330万円:10%
- 330万円超〜695万円:20%
- 695万円超〜900万円:23%
- 900万円超〜1,800万円:33%
- 1,800万円超〜4,000万円:40%
- 4,000万円超:45%
非居住者の場合
非居住者の所有者は賃料総収入に対して20.42%の源泉徴収税が課されます。確定申告を行い経費を控除することで軽減できます。
- 管理会社が税金を源泉徴収し毎月納付する義務あり
- 年次確定申告で過払い分の還付を請求可能
- 日本で納税管理人の選任が必要
- 租税条約により二重課税の軽減を受けられる場合あり
控除可能な経費
- 管理費:プロの管理サービス費用全額
- 修繕・維持費:通常の修繕(改良工事を除く)は控除可能
- 減価償却:建物価値を耐用年数(通常22〜47年)で償却
- 不動産税:固定資産税・都市計画税は全額控除可能
- 支払利息:住宅ローン利息は賃料収入から控除可能
- 保険料:火災保険・地震保険は控除可能
- 広告費:入居者募集のための費用
- 専門家報酬:税理士、弁護士、仲介業者への報酬
不動産売却時の譲渡所得税
不動産を売却する際、譲渡益には保有期間に応じて課税されます。
短期譲渡所得(5年以下)
5年以下の保有物件には高い税率が適用されます。
- 所得税:30%
- 住民税:9%
- 合計税率:譲渡益の39%
長期譲渡所得(5年超)
5年を超える保有物件には優遇税率が適用されます。
- 所得税:15%
- 住民税:5%
- 合計税率:譲渡益の20%
居住用財産の特別控除
自宅(10年以上居住)を売却する場合、3,000万円の譲渡所得特別控除が適用される場合があります。これにより譲渡所得税を大幅に軽減または免除できます。
相続税・贈与税
相続税
日本は世界的に見ても相続税率が高い国の一つです。死亡により不動産が相続人に移転する場合:
- 基礎控除:3,000万円+(600万円×法定相続人数)
- 基礎控除を超える金額に対し10%〜55%の累進税率
- 不動産は評価額で算定(通常、市場価格の70〜80%)
- 居住用不動産は80%の評価減の適用可能性あり
- 死亡から10ヶ月以内に納税
贈与税
生前に不動産を贈与すると、受贈者に贈与税が課されます。
- 年間基礎控除:受贈者1人あたり110万円
- 基礎控除を超える金額に対し10%〜55%の累進税率
- 成人した子への住宅取得資金贈与は特別非課税枠の対象となる場合あり
- 計画的な贈与により相続税全体の負担軽減が可能
コンプライアンスと継続的な義務
不動産所有者は様々な規制を遵守する必要があります。
- 確定申告:賃料収入がある場合、毎年3月15日までに申告
- 固定資産税の納付:6月、9月、12月、2月の年4回分納
- 建物検査:特定建築物は10年ごとの定期検査が義務
- マンション管理:管理組合総会への出席と管理費の適時支払い
- 消防設備:必要な消防設備の維持と定期点検の実施
- 住所変更届:転居後14日以内に届出
- 賃貸事業届出:複数の賃貸物件を運営する場合は事業者登録
法律専門家との連携
不動産取引と所有の各側面は、異なる専門家が担当します。
司法書士
不動産登記、所有権移転、抵当権設定登記を担当します。すべての不動産取引で必要です。
行政書士
書類作成、ビザ申請、不動産所有に関する行政手続きをサポートします。
税理士
確定申告の作成、税務計画のアドバイス、税務に関するクライアント代理を行います。投資物件には不可欠です。
弁護士
複雑な法的問題、紛争、契約交渉を担当し、必要に応じて裁判でクライアントを代理します。
ARK合同会社の専門家ネットワーク
当社は不動産専門のバイリンガル法律・税務専門家と連携しています。紹介や各種サービスの調整を行い、不動産所有の全過程において専門的なサポートを受けられるようお手伝いいたします。